C・Dラボ

越境体験がシニア層のキャリア開発のきっかけに―「異業種混合型社会解決プログラムREVIVE」参加者座談会

将来のキャリア形成に不安を抱く方が増えている中で、越境体験がキャリア形成においてプラスになると注目され始めています。越境体験の1つとして挙げられるのが、社外メンバーと数か月間のプロジェクトに取り組む活動です。今回は、そんな越境体験の中でも、シニア層に向けたREVIVEというプロジェクトに参加した3名の方の座談会を実施しました。彼らは、佐渡島のプロジェクトに参加し、「2030年までに関係人口を100万人にする。そのために主体的および持続可能かつ補助金に頼らない新しい仕組みを作る」をテーマに、数か月間活動を共にしてきました。
「『REVIVE』とはどういう活動なのか?」「越境体験を通して何をつかんだのか?」など、率直に伺ってみました。

2020.02.21
C・Dパーソン

REVIVEとは?

「人に眠る可能性を掘り起こし、社会の課題を解決する」をコンセプトに、地方公共団体やNPO団体に、課題解決のための提案を行うプロジェクト。1つのプロジェクトに、7~10社、60名ほどの参加者を募り、各社混在のチームで数か月間かけて提案を練り上げるものです。最終プレゼンテーションでは、提案先の団体から案の採択可否が決められ、採択が決まった提案は、各団体で実行されるリアルなプロジェクト。

座談会メンバー紹介

河内 大輔さん

河内 大輔さん

株式会社NTT東日本ー南関東 東京事業部

仲摩 義信さん

仲摩 義信さん

日本郵便株式会社 金融営業部

沢野 光秀さん

沢野 光秀さん

帝人ファーマ株式会社 営業企画・支援部門

きっかけは軽い気持ちから

REVIVEに参加しようと思ったきっかけは?

河内(敬称略):最初は上司から声をかけられて、話を聞いてみたら面白そうだったので、参加することを決めました。興味を持った点は、今まで行ったことのない佐渡でのプロジェクトだったこと、今まで参加した研修と異なり実際の答申先(提案先)があるということ、そして、他企業の方と一緒に活動するという初めての経験ができるということです。

仲摩:人事部から声がかかり、題材が地方自治体のリアルな課題解決という、今まで経験したことのないものだったので興味をもちました。今までも仕事で、外部の方とプロジェクトを組む事はありましたが、予めゴールが決まっているものばかりでした。今回は問題点を探るところから始めるというゴールが見えないチャレンジで、異業種の方と一緒にゼロからの立ち上げを経験できるということで、面白そうだと思いました。

左:仲摩 義信さん 右:沢野 光秀さん沢野:社内の研修を通過した人へ公募があり、3つのプロジェクトのうちで一番興味を持った佐渡のプロジェクトを自分で選びました。ガイドブックなどを見て調べていくうちに、自然が豊かで、珍しいトキにも会えるかもしれないなど、どんどん興味が湧いてきたんですね。一方で問題点もたくさん見えてきたので、何とかしたいという想いも湧き上がってきました。

それはとてもやる気が感じられますね。最初はちょっと面白そうといった軽い気持ちで参加を決められたとのことですが、徐々に興味が湧いていったのはどういった点でしょうか?

河内 大輔さん河内:最初は「意外と簡単に解決できるかも」と思っていたんですよ。でも、仲摩さんが調査共有してくれる情報が毎回膨大で、立てる戦略もすごい緻密な内容で、あまりの知識の深さに、「あれ?これはまずいな」と。浅いレベルで考えていた自分に焦りを感じて、ついていくのに一生懸命な時期がありました。その後、知れば知るほどできることの可能性も広がっていき、どんどん面白くなっていきました。

仲摩:私は、まずは現状を徹底的に調べるところをから始めました。そこで、「佐渡 あ」「佐渡 い」「佐渡 う」...というようにwebで50音順に情報検索や情報収集を行ったんです(笑)その結果、佐渡の人口動向、産業、環境、観光の各分野には、多くの魅力とともに、多くの課題があることが見えてきました。財政問題もあり、最初は荷が重いと思った時期もありました。一方で、大きなテーマなので、研究してやってみる価値はある、やってみたいという気持ちになりました。そして、さらに現地の方の危機感や問題意識にも触れ、何かお役に立ちたいという気持ちがどんどん増し、没頭していったような感じです。

プロジェクトを通して自分の強みや役割が明確に

3人の役割は最初から決まっていたのでしょうか?

沢野:プロジェクトの開始時には役割分担はしていなかったんですね。でも、振り返ってみると、私は仕事では研修や新人育成をしていて、以前は営業の経験もあったので、人と接するのが苦ではなかった。そこで、何かの機会があったら1番始めにやってみるということを宣言し、率先して動こうとしていました。

その沢野さんをお2人はどう見ていらっしゃいましたか?

仲摩:非常に頼もしかったです。チームで、ある役割を「どなたかやる人はいませんか?」という状況だと沢野さんは必ず手を挙げるし、沢野さんにお願いできるという安心感もありましたね(笑)。

河内:沢野さんは、最初の方のミーティングに、社内で130名近い方のアンケートをもってこられたんですね。私は手ぶらで「何をやるのかな?」くらいの軽い気持ちだったので、頼もしくもありつつ、「これ、ちゃんとやらなくちゃまずいな。」という危機感にもつながりました(笑)

沢野 光秀さん沢野:佐渡に行く前に、自分の持っているイメージと一般のイメージに相違はないのかな、ということを理解したくて「佐渡のイメージ調査」を実施したんです。200名くらいに声をかけ、8割の方が回答してくださいました。

それは凄く気合が入っていますね。河内さんはどのような役割だったのでしょうか?

河内:私は2人が動きやすいようなサポートができるようにと考えていました。このプロジェクトで最初にみなさんのタイプ診断をするんですね。そこで、お2人は「ひっぱっていくタイプ」で、私は「支援していくタイプ」と分かったので、サポートすると最初に宣言したんです。

お2人はそんなサポータータイプの河内さんを見ていていかがでしたでしょうか。

沢野:彼がいなかったらまとまらなかったというのが正直な感想です。私は色々な人と話すのが得意で、でも文章にまとめるのは不得意でした。そこを河内さんが適切な言葉を引き出してまとめてくれて、要約してくれたのがとても助かりました。あと、仲摩さんは情報収集がとても得意で、議会の議事録を5年間分読んでいたんだよね(笑)

仲摩:そうそうそう(笑)。

沢野:それはすごく助かりましたね。その後、仲摩さんが持ってきてくれた問題点などを記載した膨大な資料をそぎ落としていかなければならなかった時に、河内さんが中心にまとめてくれて、最後とても良いものが出来上がりました。

座談会メンバー仲摩:河内さんは、冷静に分析してまとめる力、相手に伝える力を持っていることが解っていましたので、最後は全てお任せしました。できあがった資料を見ると、あの情緒的な議論がこんなに簡潔にまとまるなんて、というくらい見やすくなっていて、驚きました。

みなさん、ご年齢は異なりますが、最初戸惑われたりしなかったのでしょうか?

仲摩・河内:全然なかったですね。

沢野:最初仲摩さんを見た時は、自分と違って、データ分析して冷静に判断をするようなタイプでクールなのかなと思っていたんですよ。でも、プロジェクトが進むにしたがって、地域の人に貢献したいという想いが一緒だと分かり、共有し合えたので意気投合しましたね。

左:河内 大輔さん 右:仲摩 義信さん仲摩:課題を3人で話し合う中において、最初は視点やベクトルが違っていたのが、議論するうちにピタッと合ってきたんですよね。

沢野:全部でも集まったのは4、5回くらいでしたね。その間はメールのやり取りで、各自指示はされないけど、各自で関心のあることなどを自由に調べていました。自然と、私は動く人、仲摩さんは調べる人、河内さんは考えてまとめる人、と役割が決まっていましたね。

仕事との両立は周りの協力も不可欠

コミュニケーションをたくさん取られている印象ですが、プロジェクトと仕事のバランスはどのように取られていましたか?

河内:トラブルさえなければ自分で時間をコントロールしやすい業務なので、仕事の合間にやっていました。このプロジェクト自体は仕事という位置づけなので、全く問題はなかったです。でも、周りの同僚などには伝えておかないと、業務外のことをしていると誤解を招くので、初めに説明をしておきました。

仲摩 義信さん仲摩:私は通勤時間が長かったので、通勤電車の中で調べたり、あとは構成をお風呂の中で考えたりしていましたね。ただ、考えを文書化する時間はなかなか取れなかったので、朝早く出社したりお昼の休憩時間を使ったり、最後の方では同僚に「このために時間を1時間欲しい」と伝え協力を仰ぎました。周囲の理解は必要なので、私も事前にプロジェクトについて共有をしておきました。

沢野:私は、プロジェクトは仕事外という位置づけだったので、業務外の時間を使っていました。仕事が終わってから図書館に行ったり、土日に新潟のアンテナショップへ足を運んでみたりしていましたね。メールの確認は仕事の合間の時間にしていました。

時間を作ること以外で大変だったことはありますか?

河内:時間に追われてアウトプットを出さなければならないことはありました。でも、意見が食い違うとか、チームがまとまらないというようなことはなかったです。お互いフォローしあう体制ができていたので、その意味での大変さはなかったです。

仲摩:私も基本的にはなかったですね。最初は、3人の間に取組課題や検討課題のプライオリティが違うという点はありました。でも、そこは仮シナリオに基づき話し合いながらスムーズにベクトル合わせや役割分担ができたと思います。

左:河内 大輔さん 右:仲摩 義信さん沢野:佐渡の人が幸せになることをしようという共通認識があったので、メンバー間での問題は特になかったです。ただ、解決方法を調べるにしたがって、考えていた提案内容がすでに実行されていることが分かることもあり、新規のものを見つけるのには少し時間がかかりました。

得られたことは想像以上

プロジェクト自体の難しさはあったものの、本当にスムーズに進んだんですね。REVIVEの経験を経てご自身の中での変化はありましたか?

河内:自分で感じる変化というのは、ちょっとまだ分からないのですが、仕事で何か考えるときに、「これは、沢野さんだったらどう行動するかな?」「仲摩さんだったらどんな戦略立てるのかな?」と他の方の視点を取り入れて考えられるようになりました。

河内さんは、他のお2人から見てどうでしたか?

沢野:まとめる力を持っている人だと話しましたが、まとめながら方向性を合わせていくといったリーダーシップを発揮したりコンセプトを決めたりしていたので、サポーターというイメージではなかったです。

仲摩:今回のプロジェクトでは、答申先へ中間プレゼンと最終プレゼンの2回を行いました。中間プレゼンについては3人で資料を分担して作ったのですが、最終プレゼンは河内さんに資料作りをお任せしました。答申先の評価も上々で、本当に頼もしかったです。

河内:そういわれると嬉しいですよね。なかなかこの歳で褒められることもないですし、モチベーション上がりますね(笑)

沢野さん、仲摩さんは得られたことや変化はありましたか?

沢野:参加しての最大の成果は、この2人と出会えたことだと思っています。2人の良いところが自分の不得意なところを補ってくれ、また、自分自身の良いところは出せるという、素晴らしいチームワークを体験できました。社内では、役職があって部下もいると褒められることも、逆にダイレクトに叱られることもないのですが、久しぶりに指摘を受けることもあって新鮮でしたし、良い経験をしたと思っています。

仲摩:自分を客観的に眺めることはあまりなかったですが、社外での自分の立ち位置を知ることができました。キャリア特性やキャリア資産を他の方と一緒に動くことで見つける良い機会となったと思います。自分はシナリオライター的な役割を担いましたが、前職で法人や個人のお客さまの事業計画見直しをアドバイスする仕事もしていたので、経験として身についているのかと思いました。

REVIVE佐渡チームの活動模様
REVIVE佐渡チームの活動模様

1番の財産は人との出会い

最後に、REVIVEに興味を持っている方へメッセージをお願いいたします。

沢野:まず、新しい出会いがあるというメリットがあります。全く知らない方と課題解決をしていくということは、今まで社内の共通認識がある中でやってきたやり方が通用しないんです。一般的には、知らない人と一緒に動くのは億劫だというイメージもあるかもしれませんが、ちょっと自分が動いてみると、他企業の人と出会えたり、自治体の人とやり取りをしたり、違う楽しさが生まれてきます。
あとは、プロジェクトが終わってからも、私たち全員佐渡とつながりが残っていて、例えば、佐渡の方が東京に来て展示即売会をやるときに顔を出したりもしています。今まで接点がなかった地域の人とそんな関係ができることは、普段の仕事においても少ないので、貴重でした。

仲摩:佐渡の物産即売会で、売り子もやっていましたよね(笑)

沢野:一緒にプロジェクトに参加した若手の方ともLINEのグループを作って、佐渡関連の情報共有なども行っています。

仲摩:素晴らしいメンバーに出会えたことも良かったですし、自分にない物の見方や行動力を学んだことも大きいです。とにかく何事も経験ですから楽しんで欲しいですし、必ずや経験値が増し、身になるものがあります。また、同じ経験をした他社メンバーとプロジェクトが終わった後も途切れることなく繋がっていることができるのは、なかなかできないことです。

河内:大変だけど面白い!と伝えたいです。同じ会社に長くいると新しい知識を得る機会は少なくなりがちですが、まだ新しい知識を得る機会があるのだと気づくきっかけにもなりました。また、ビジネス書に書いてあるようなマネジメントの手法やコミュニケ―ションの取り方など、読んで分かっても実感できないことでも、目の前でお2人が示してくれることで体感できるという良さがありました。

シニア世代の方だからこそ、社外の方と一緒にプロジェクトを行う事で、刺激が大きそうですね。

河内:そうですね。社内では上下関係があるので、フラットに議論することがあまりないこと、そして、議論のテーマも会社の課題なので、その仕事に関わった年数が長いほど、説得力が増すようなことも起こります。でもREVIVEでは、今回のように、全くフラットで会社のしがらみのない課題に向き合うという経験ができるので、素の自分で挑戦できるという意味で、得られるものが違いました。

仲摩:私はこのREVIVEの経験を経て、考え方が変わりました。今までは自分のキャリアを考えた時に、職業人としては最終段階に入っている中で、「後進の育成」が主な目的だと思って仕事をしてきました。でも、時代は70歳まで働こうという機運の中にあり、まだまだ仕事人生の最終章じゃないんだなと思うようになりました。それは、このREVIVEで、自分にない素晴らしい才能やキャラクターを持った方々と出会い、まだ自分の可能性を拡げチャレンジできるんだという気持ちになったからです。人生100年時代、後進の育成だけでなく、プレイヤーとしてもまだ活躍できるし、むしろ、やっていかなくてはいけないということを改めて認識する機会になりました。

沢野:まさにその通りですね。私もプレイヤーとしてまだまだできることがあるなと気づきましたし、新しいことに対しての躊躇がなくなりました。仕事以外でも面白いと思ったらすぐにできるようになりましたし、今後のキャリアを考えたときに、社内以外の選択肢も増えましたね。

河内:仕事についてもそうですけど、私は、お2人のプライベートの活動にも影響を受けましたね。沢野さんは活動の範囲が広くて、自分ももっとプライベートも充実させようという気になり、すごく刺激を受けました。見ていてすごく楽しそうなんですよね。

仲摩:たしかに、沢野さんの姿を見ていて、私も新しいことに挑戦することに何の不安もなくなりました。自分が通用するのか不安になるような局面でも、先ずはやってみようという気になりましたね。

座談会メンバー

みなさま、REVIVEの活動で、本当にたくさんのことを得られていて、私自身も刺激を受けました。本日は、ありがとうございました。

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